●イベントCG+サンプルシナリオ

不意に――
【ユフィンリー】
「――!」

それまで聞こえていた音が止んだ。
代わりに一瞬の沈黙を置いて――強い断音含みで調子の早い攻撃的な曲が響いてくる。
ユフィンリー達の接近に気付いて行動を切り替えてきたのだろう。
【ユフィンリー】
(さあ、どう出る?)

彼女がそう思った次の瞬間――目標が動いた。
闇にまみれた黒い塊が何の躊躇も逡巡も示さず真っ直ぐこちらに向かって来る。しかもウォルフィスにではない。突っ込んでくる角度からして狙いはユフィンリーの方だ。
【ユフィンリー】
「そうきたか!」

むしろ何処か嬉しげにユフィンリーは叫んだ。
精霊 (スピリット)は神曲が在ればその潜在能力を全開にして――更には何倍にも増幅した状態で活動出来る。また神曲が響いている限り彼等に体力切れは無い。
この為に、神曲の支援を受けた精霊同士の戦いは、神曲楽士や精霊に余程の力量差が無い限りしばしば長引いて消耗戦の様相を呈してしまう。はっきり言って戦闘という意味においてはおよそ効率的でない不器用な状態だ。
ではどうすれば効率よく勝つことができるか。
戦い慣れた、あるいは少し頭の切れる神曲楽士や精霊ならば、すぐに気付く。簡単なことだ。精霊の活力源である神曲を止める――つまり 神曲楽士 (ダンティスト)を先に潰してしまえばいい。相手の兵站を叩くのは戦の基本である。
敵は何の躊躇もなく誰何すらせずにそれを実行してきた。
つまり――
【ユフィンリー】
(目撃者は消せって事? やっぱり最初から荒事覚悟で乗り込んできてるって事ね。)