●イベントCG+サンプルシナリオ

【ペルセルテ】
「どうしてコーティカルテさんはすぐそういうこと言うんですか! 意地悪ですよ!」

【コーティカルテ】
「お前がフォロンにすぐ近寄ってくるからだ! 何度も言っているが、コレは私のだぞ! まずその手を離せ!」

仮にも 精霊契約 (スピリチュアル・コベナント)の相手――主従とまでは言わないが相応の敬意を挟んでの関係である筈のフォロンを指してコーティカルテはコレと言い放った。
生真面目な騎士気質で知られる<セイロウ>枝族辺りが聞いていたら激怒しそうな物言いだが、その事については当のフォロンは勿論、ペルセルテもプリネシカも突っ込まない。契約主を契約主とも思わないコーティカルテの不遜な言動は、今日に始まった事ではないからだ。
それに――
【ペルセルテ】
「嫌です! それに私だって何度も言っていますよ! 先輩はみんなのモノです!」

ペルセルテも全く悪気はないのだろうが、仮にも二つ上の先輩をモノと言い放つ。
まあ失礼という意味ではどっちもどっちなのである。
二人とも悪意は無い様だが。
【コーティカルテ】
「いや私のだ! 離せ!」

【ペルセルテ】
「ダメです!」
【コーティカルテ】
「離せと言っているだろう!」

【ペルセルテ】
「ダメったらダメです!」

二人は激しく言い合いをしながらフォロンを引っ張り合う。
かなり気の強いコーティカルテだが、ペルセルテも負けてはいない。まあペルセルテの場合は気の強さというより、思い込みの激しさや少々頑固に過ぎる性格によるものであろうが。
で――
引っ張られている本人はというと半ば諦めの境地に達しているのか、殊更に抗いもせず、どちらの側につくでもなく、ただ深く静かに溜め息をつくのみである。
【フォロン】
「はぁ……」

二人の喧嘩は毎朝の事だ。
見事なまでに同じ内容で飽きずにこのやり取りが繰り返される。
勿論、公共の道のど真ん中でこれほど騒いでいれば周りの通行人達が少なからず注目していく。本来であればとても恥ずかしいことだったが、さすがのフォロンもだいぶ慣れてしまった。
そんな自分が少々悲しい。
逆に、幸か不幸か未だに慣れずにいるプリネシカはフォロン達から少し離れた所を、赤面して俯きながら歩いていた。いっそ『私は無関係です』と離れきってしまった方が気楽な筈なのだが――プリネシカの性格上、そこまで割り切る事は出来ないらしい。
代わりに彼女は恥ずかしそうに言った。
【プリネシカ】
「……本当に……みんな毎朝……飽きずによくやりますよね……」

――かく言う彼女の台詞も飽きずに同じものではあるのだが。
まあそんなこんなで。
いつも通りにフォロン達の一日は始まるのだった。