●イベントCG+サンプルシナリオ


ひらけた公園だ。
その姿は、すぐに目に入った。照らされる外灯の中で、何かが確かに動いていた。

心臓が、跳ねる。
十三はその木刀袋に手をかけつつ、ゆっくりと足を進める。外灯に照らされたグラウンド。その中心。

何かが、いた。

影は二つ。人の輪郭を持った影だ。それが交差するように動き、また離れることを繰り返している。ひとつは――。

【十三】
「なんだよ、あれ……?」


十三が呆気に取られるのも無理はなかった。思わず、目を疑ってしまう。眼鏡の度が狂ったのか。確かに最近少し合っていないと感じることはあった。だが――そんな問題ではない。

細部までは見えない。だが、それが常軌を逸した存在だということは明らかだった。

離れた十三ですら威圧を感じる巨大な体格。おそらく2mは超えているだろう。それだけならば、まだ件の殺人犯が人を襲っているようにも見えたかもしれない。

だが――それだけではなかった。ほの暗いグラウンドで動いているそれは、まるで特撮に出てくる怪人だ。一言で言えば、それは異形だった。
蟻のような頭部。異常なほどに伸びた黒い体毛に覆われた上半身。長く伸びた触角と同時に、その複眼もきろきろと動く。一対の牙を持つ虫の口器が、かちかちとそれを鳴らした。

【虫頭】
「ヒ、ヒヒヒ、なかなかやるじゃんかよ。なら――」


怪物が体毛に覆われた腕を振り上げた。その先端にある鋭い爪が、街灯を反射して光る。

【虫頭】
「これなら、ヒ、どうだァァッ!?」 


その足を踏み出した。尋常ではないほどに、速い。そこまでの踏み込みは剣道で慣らした十三でも見たことはなかった。

【虫頭】
「ヒ、ヒヒヒ、ヒィィィィィァァァァァァァァッ!!」


狂気に満ちた叫びを上げながら、怪物が動いた。その咆哮は、離れたところに立っている十三の体すらも恐怖に震わせる。
紛うことなく、怪物。もしくは――悪魔。禍々しいま空気を纏った破壊の化身。悪魔は鋭い爪を貫手に構え、地を鳴らして突進する。狙っているのはもうひとつの影。

怪物が爪を振り下ろす。その直前に、もうひとつの影はさらりと流れるような動作でそれを回避した。

爆音が響く。向かう先を失った爪が地面に激突し、大きく削り取った。衝撃に舞い上がった砂埃が、怪物の身を覆った。
回避したもうひとつの影は、その背に生える翼を揺らしてふわりと地面に降り立つ。そして、十三は見た。

【十三】
「……は」


それは、少女の姿をしていた。少なくとも先ほどの怪物に比べれば人間らしい姿をしている。
だが、それでも圧倒的に違う。その体はまるで自分から光り輝くようにきらめいており、極めつけは、背中に開いた純白の翼。
大きな、翼だった。その翼がふわりと揺れれば、ダイヤモンドダストのように空気中で何かが光を放つ。
神々しさすらも感じる姿は――そう、まるで天使。

【???】
「そんなのが当たると思ったの?」


その口から紡ぎだされたのは、どこか聞き覚えのある、澄んだ高い音色。静寂の中、その声はよく響いた。
笑うような響きに苛立ったのか、砂埃の中から爪が飛び出してくる。その動きを予想していたように、天使は半身にそれを避けて手の平に光を生み、砂塵の中へ撃ち込んだ。

放たれた光球は砂埃を割り、怪物の中心に命中。全身を包み込むように膨れ上がり爆発する。
公園全体が、その神々しいまでの光に包まれた。


 


 
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